監修:産婦人科医 柴田綾子先生

PMSの症状とは?
PMSの症状はとても多様ですが、主に下の3つに分類されます。

1.ココロの症状
・普段気にならないことでもイライラする
・なんでもない事で泣いてしまう
・日中眠くて仕方がない
・夜ぐっすり寝た気がしない
・ボーっとする
・憂鬱な気分になる
・なんとなく不安を感じる
2.カラダの症状
・肌が荒れる
・身体がだるい
・胸が張る
・むくみ
・腹痛
・頭痛
・腰痛
3.生活上の変化
・家事や仕事がはかどらない
・集中力の低下
・興味や意欲の減退
・過食
・甘い物が食べたくなる
PMSへの対処

①自分の生理周期を把握する
継続的に、生理前後の症状を記録し、PMSをセルフモニターします。
月経開始日や予定日を知っておくと、PMSに対応しやすくなるのです。
セルフモニターで得た情報は、医療機関でのPMS診断にも役立ちます。
②生理に対する認識を変える
生理になると「憂鬱だな〜」と気分が落ち込むことありますよね。
「できない」自分を責める必要はありません。
生理前は、女性ホルモンが大きく変化し、精神にも影響を及ぼすのです。
ネガティブな感情が出るのは、むしろ自然な現象です。
ネガティブな感情に気がついたら、自分を大切にする時間が必要だというサインが来ています。
自分自身の内面を見つめ、自分にありがとうと言う時間をつくってもよいでしょう。
③生活を改善する
まずは、十分な休息と睡眠をとりましょう。
PMS症状への対処だけでなく、無理をすることは、禁物です。
十分な休息をとることで、心身ともにエネルギーが補給され、活力を維持できます。
また、カフェイン・アルコール・タバコ・喫煙・菓子類・ファストフード・インスタント食品などの摂取を控えます。
これらの食品/商品は、消化に負担がかかったり、PMS症状を悪化させる要因になるのです。
散歩やヨーガなどの適度な運動は、身体を温め、血液循環を促進する働きがあり、PMS症状の軽減が期待できます。
④医療機関受診する
PMS症状は、精神的要因が多く関わっていると言われています。
産婦人科だけでなく、メンタルクリニックなどの医療機関を受診することもできます。
生活に支障が出る場合には、あなた1人で悩まずに、医療機関を受診しましょう。
妊娠初期の症状とは?
妊娠初期とは、妊娠0〜15週目までのことです。
一般的に、妊娠初期症状は3週目以降に感じると言われています。
妊娠初期症状は、女性ホルモンの黄体ホルモン(プロゲステロン)、卵胞ホルモン(エストロゲン)などの分泌量が増加する影響だと考えられています。
以下に妊娠の初期症状について簡単なチェックリストをまとめました。
当てはまる症状がある方は、妊娠検査薬や病院へ受診して妊娠判定を行いましょう。

PMSと妊娠初期症状の違いと見分け方

①出血の違い
妊娠初期に出血(着床出血)がある場合もあり、着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる出血のことを指します。
出血の色は個人差があり、おりもの、鮮血や褐色血などは着床出血なのか生理なのか判断しにくいです。
生理に比べて着床出血では出血量が少なく、期間が短いことが多いと言われています。ただし、出血だけで区別することは難しいため、妊娠検査薬を使う必要があります。
②妊娠初期の痛み
一般的に妊娠初期は、チクチクとお腹が痛んだり、腰あたりが重く痛みを感じることもあります。これは、妊娠して子宮が大きくなっていく過程で、子宮筋肉や子宮を支える靭帯(じんたい)が引き伸ばされているからだと考えられています。PMSの場合は、お腹が張った感じや子宮筋肉が収縮して固くなる感じがすることがあります。
③月経と着床出血の違い
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる出血のことを言います。
着床出血が起きる人は、全体の約25%で、5人に2人の割合で起こるのです。
着床出血が起こる時期は、生理予定日とほぼ同じなので「生理が始まった」と思うこともあり、区別がつきにくいこともあります。
④妊娠初期は高体温が持続する
生理周期は、排卵期で体温が上昇し、生理開始から低体温の状態になります。
一方妊娠の場合には、体温は下がらず一定もしくは体温が高めで、熱っぽい状態が続くこともあります。
生理の記録と合わせて、定期的に基礎体温を測定しておくと妊娠との違いを見分けることに役立ちます。
⑤生理が始まらない
生理周期が安定している場合に限りますが、予定日より1週間以上経っても生理がこない時は妊娠の可能性があります。予定日より1週間以上遅れる場合は妊娠検査をしてみましょう。しかし、心身のバランスにより、生理周期が早まる、もしくは遅れることもあります。
まとめ
体調の変化があると「妊娠したのかも?」と不安に感じますよね、妊娠の検査は薬局で販売している妊娠検査薬を使ったり医療機関を受診することで検査できます。
日常的に出血が続く場合や体調がすぐれないときは、必ず検査や医師に相談しましょう。
監修者プロフィール

柴田綾子 (Shibata Ayako) 先生
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医,周産期母体,胎児専門医
2011年群馬大学医学部を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。妊婦健診や婦人科外来診療をしながら女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動している。
著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)