日常的に訪れる生理。実はここ数十年で、月経が大きく変わったということを知っていますか?この記事では具体的に月経がどう変わったのか、そしてそれに伴う問題とその解決策をお伝えします。
目次
今と昔の月経
今の月経の問題点
対策法
日本の現状
まとめ
今と昔の月経
昔の月経
昔の月経は今よりも回数が少なく、初経から閉経までの期間も短いです。具体的には、生涯に経験する月経回数が50〜100回ほどで、初経は平均で16歳頃でした。
これほど回数が少ない理由としては、出産回数が多かったことが挙げられます。1940年代には女性1人あたり約4〜5人を出産していました。そのため月経の無い期間が今よりも非常に長かったのです。
今の月経
それでは、今の月経はどう変わったのでしょうか。最近の月経回数は約450回と言われており、初経の年齢も12歳頃が一般的になっています。
初経が低年齢化した要因としては、栄養状態の改善や睡眠時間の減少などがあると言われています。
今の月経の問題点
月経では、使われなかった子宮内膜が血液と共に排出されますが、その際に実は毎回経血の一部が卵管にも逆流しているのです。
逆流した経血は卵管を通ってお腹の様々な所に移動します。その際まれに、経血に含まれる子宮内膜がその場に癒着してしまう事があります。これが「子宮内膜症」です。
子宮内膜症になると、癒着した部分で子宮内膜が生成されて月経の度に出血するため、月経の度に腹部に強い痛みを感じます。癒着場所としては卵巣や卵管、場合によっては腸や肺にできることもあります。
対策法
子宮内膜症の対策にはピルの服用が最も一般的です。ピルには月経の回数や量を減らしたり、生理痛を和らげる効果があります。そのため、ピルの服用によって子宮内膜症の発症を防ぐことができます。
また、子宮内膜症を発症した場合も同様にピルを使って治療を行い、症状を緩和します。子宮内膜症の予防・治療だけでなく、生理痛などの生理症状やPMS(生理前の身体・精神症状)の改善にも有効なので、現在それらに悩まれている方にはピルの服用をおすすめします。
日本の現状
初経の早まりに伴って、10代で子宮内膜症を発症する人も増えています。なんと10代の月経困難症の約7割が子宮内膜症と言われているのです。
ですが、日本ではまだまだピルが普及していません。2008年の北京オリンピックでは、全女子選手の83%がピルを内服していたのに対し、日本人女子選手はたった7%だけでした。ピルには生理症状の緩和だけでなく、生理日の調整ができる効果もあるので、スポーツ選手には特に必要なものです。
ピルは体に悪そうと思われる方もいますが、月経は子宮を毎回傷つけているようなものなので、むしろピルを使わない方が体にとって負担となります。
今は保険適用が可能なものもあるので、是非ピルの服用を検討してみてください。
まとめ
たった70年ほどで月経回数が約5〜9倍になったのは、人間の体の歴史から見ると異常事態です。生活スタイルが変わっても、体の仕組みは中々すぐには変わりません。
だからこそ、体のために負担を減らしてあげましょう。ぜひ一度婦人科で相談してみてくださいね。
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