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プレ更年期・更年期とは?:女性ホルモンの変化と上手に付き合うための知識と対策

  • 執筆者の写真: 株式会社 Flora
    株式会社 Flora
  • 6月24日
  • 読了時間: 6分

更新日:7月3日

修:早川里実(産業看護師・更年期指導士)

「最近、なんとなく疲れやすい」「以前よりイライラしやすくなった気がする」「肌や体型の変化が気になる…」そんなお悩みを感じていませんか? もしかすると、それはプレ更年期や更年期のサインかもしれません。

今回は、プレ更年期・更年期の基本知識やよくある症状、そして対策について分かりやすく解説します。今はまだ関係ないと思っている方も、ぜひ知っておいてくださいね!


はじめに:プレ更年期・更年期とは?

女性のライフステージには、さまざまな変化が訪れます。その中でも「更年期」は、誰しもが経験し得る自然なプロセスです。


​一般的に、閉経の前後約5年間、つまり45歳から55歳頃を「更年期」と呼びます。 ​一方、30代後半から40代半ばは「プレ更年期」とされ、​この時期から徐々に体調の変化を感じ始める方も少なくありません。


「まだ関係ない」と思われるかもしれませんが、早めに知識を持つことで、心身の健康をより良く保つことができます。​


プレ更年期・更年期の定義とメカニズム

女性の体内では、エストロゲンという女性ホルモンが重要な役割を果たしています。​このエストロゲンは30代をピークに徐々に減少し始め、​40代から急激に変動し、​50歳前後で閉経を迎えます。 ​このホルモンの変動が、心身にさまざまな影響を及ぼします。​プレ更年期ではホルモンの分泌量の変化が始まり、軽い不調が現れることがあります。​更年期に入るとこれらの変化がより顕著になり、症状も多様化する傾向があります。​


プレ更年期・更年期の主な症状と原因

身体的な症状

  • ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり):血管の拡張と収縮が原因となり、​急に顔や上半身が熱くなる症状です

  • 発汗異常:​特に夜間に大量の汗をかいたり、冷えのぼせが起こったりすることがあります

  • 疲れやすさ・だるさ:​自律神経の乱れにより、日常的な疲労感や倦怠感を感じることがあります

  • めまい・動悸:​血圧の変動やストレスにより、これらの症状が現れることがあります

  • 頭痛・関節痛:​エストロゲンの低下が影響し、頭痛や関節の痛みを感じることがあります​


精神的な症状

  • イライラ・怒りっぽさ:​エストロゲンの減少によりセロトニンが不足し、感情の起伏が激しくなることがあります

  • 不安感・抑うつ:​エストロゲンの低下とストレスが組み合わさり、気分の落ち込みや不安を感じることがあります

  • 集中力や記憶力の低下:​いわゆる「脳の霧(ブレインフォグ)」と呼ばれる状態で、物忘れや集中力の低下を感じることがあります


美容・体型の変化

  • 肌の乾燥・シワ・たるみ:​エストロゲンの減少によってコラーゲンが作られにくくなり、肌のハリや潤いが失われることがあります

  • 髪のハリ・コシの低下:​頭皮の血流が悪くなることで、髪質の変化を感じることがあります​

  • 太りやすくなる(特にお腹まわり):基礎​代謝の低下や脂肪のつき方の変化により、体重が増えやすくなることがあります

どれくらいの人が更年期に悩んでいるのか?

厚生労働省の調査によると、40代では3割以上、50代では約半数の女性が更年期障害と診断されている・または症状を自覚しています。また、更年期症状がある人のうち約3割の方が、日常生活への影響があると回答しています。 ​また、30代の2割以上が、既に疲れやすさや不眠、イライラといった更年期の症状を感じているとも報告されています。​更年期に入る前にほしい(ほしかった)情報として、「主な更年期症状の内容や程度」や「主な更年期症状に対する対処法」と回答した人の割合が高く、正しい知識を得て適切な対応をすることで生活の質の向上に繋がると考えられます。


プレ更年期・更年期のセルフケアと治療法

自分でできるセルフケア

  • 食事の見直し:​大豆製品に含まれるイソフラボンや、ビタミンD、カルシウムなどを意識的に摂取することで、症状の緩和が期待できます

  • 運動習慣の強化:​ウォーキングやストレッチ、ピラティスなどの適度な運動は、心身のリフレッシュに効果的です

  • ストレス対策:​アロマテラピーや瞑想、趣味の時間を持つことで、リラクゼーションを図ることができます

  • 睡眠の質を向上:​寝る前のスマートフォン使用を控え、快適な寝具を選ぶなど、良質な睡眠環境を整えることが大切です


症状がつらい場合の治療法

  • ホルモン補充療法(HRT):エストロゲンの減少が原因で起こる更年期症状を和らげるために、不足しているホルモンを補う治療法です。特に、更年期に起こる症状や骨密度の低下などへの効果が期待できますが、乳がんや血栓症のリスクがわずかに上がる可能性があると言われていますが、乳がんに関してはそのリスクは非常に少なく、血栓に関しては経皮投与にすることでそのリスクを抑えることも可能になっていますので医師と相談しながら進めましょう。

  • 漢方療法:漢方は体質や症状に合わせて処方されます。イライラや不安、ほてり、冷えの改善に効果がある加味逍遙散(かみしょうようさん)や、貧血や冷え、むくみの緩和に効く当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが、更年期症状の緩和によく用いられます。

  • エクオール:エクオールにはエストロゲン様の作用があると言われています。ホットフラッシュや手指の関節の痛み、首・肩こりなど各不調への効果が期待できます。

  • 心療内科・カウンセリング:更年期の症状には、精神的な影響も大きく関わっています。「気持ちが沈みやすい」「不安が続く」「眠れない」といった症状が強い場合は、心療内科やカウンセリングを利用するのも一つの選択肢です。

まとめ:プレ更年期・更年期を前向きに乗り越えるために

更年期は、誰にでも訪れる「人生の自然な変化」です。決して特別なことではなく、年齢を重ねる中で心と体が新しいバランスを見つけようとしているサインなのです。

「なんだか調子が悪いな…」「いつもと違う気がする」と感じたら、我慢せずに早めに対策をとることが大切です。食事や運動、ストレスケアを意識するだけでも症状が和らぐことがありますし、つらいときは専門医に相談することで適切な治療法を見つけることもできます。

大切なのは「更年期=つらい時期」と決めつけず、うまく付き合っていくこと。自分の心と体に優しく向き合いながら、快適に過ごすための無理のない工夫を取り入れて、より充実した毎日を過ごしていきましょう!

監修者プロフィール

早川里実(産業看護師・更年期指導士)

女性の健康支援に15年以上の実績。更年期指導士として更年期女性のカウンセリングに携わるとともに、健康経営アドバイザーとして企業の健康経営を推進。また、ハラスメントインストラクター、アサーティブコミュニケーターの専門性を活かし、女性の健康に関わらず「誰もが働きやすい職場環境」の実現に向けたセミナーや研修を行っています。



 
 
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