黄体期には2種類ある女性ホルモンのうちプロゲステロンというホルモンが多く分泌されます。このプロゲステロンは排卵直後から分泌され始めるホルモンで、妊娠の準備や妊娠を助けるホルモンとされています。
プロゲステロンが持つ働きは以下のようなものがあります。
1,基礎体温の上昇
プロゲステロンは基礎体温を上昇させます。この基礎体温の上昇により受精や着床がしやすくなったり、子宮に届く血液により多くの栄養が含まれるようになります。
2,子宮内膜の維持
子宮内膜は妊娠に必要となるものです。生理直後の卵胞期には子宮内膜の厚さは数mmですが、排卵直後になると10-15mmほどになります。このように子宮内膜を厚くする作用はもう一つの女性ホルモンであるエストロゲンの作用によるものですが、この厚さを維持するためにプロゲステロンの働きが必要となります。
3,乳腺の発達
プロゲステロンはもう一つの女性ホルモンであるエストロゲンとともに、乳腺を発達させ、妊娠・出産後の体の準備を始めます。
しかしプロゲステロンには少し残念な働きもあります。生理前に決まって体や心の不調が現れる方もいるのではないでしょうか?この生理前の不調はPMS(生理前症候群)やPMDD(生理前気分不快障害)などという病気の可能性があります。
具体的には以下のような症状が見られます。
1,眠気やだるさ
生理前にはプロゲステロンの影響によって体温が上がります。この体温上昇によって体が妊娠への準備を行うことで、眠気やだるさを感じやすくなってしまいます。
2,精神的に不安定になる
これはプロゲステロン自体の影響というよりも、排卵後から生理前の黄体期の時期にかけてエストロゲンとプロゲステロンのバランスが大幅に変化することによって、気分の落ち込みやイライラを感じやすくなります。
3,身体的な不調
この不調も精神的不調と同様にホルモンバランスの変化によっておこります。また1で述べたような体温の上昇も関係します。
4,肌トラブル
プロゲステロンは皮脂を活発に分泌させたり、メラニンを生成することによって、肌のテカリやニキビ、肌荒れが発生しやすくなってしまいます。
このように悪い働きも持っているプロゲステロンですが、少ないと正常に妊娠することができません。その場合には婦人科にてホルモンを投与する治療を受けることもできます。
プロゲステロンによる影響を抑えるためには基本的な食事や睡眠、運動が大切になります。ぜひ毎日の規則正しい生活を心がけるようにしましょう。