ユニリーバが大切にしていること:Colourful is Powerfulを推進する包括的な施策とは
- 株式会社 Flora
- 4月22日
- 読了時間: 12分

ユニリーバ・ジャパンではColourful is Powerful.(多様性が組織に彩りを与えて活性化に繋がる)の考えの元、社員とその家族を支えるプログラムを展開しています。今回、Floraと共に、2025年の国際女性デーに、性別を超えてみんなの健康を考える、ことをテーマにセッションを実施しました。本記事では「違いを学び、違いを受け容れる」企業文化の魅力に迫ります。
企業プロフィール
社名: ユニリーバ・ジャパン
業種: 消費財メーカー
従業員数: 約400名
エリア: 日本全国, 本社は中目黒
ご担当者様情報
人事部 タレント&オーガナイゼーションリード 岸本しのぶ様
人事部 ピープルエクスペリエンス&オペレーションリード 登野城昌和様
ご導入頂いたサービス
国際女性デー企画 「性別特有課題への理解とサポートに関する研修」

EAPの導入で社員と家族を支える!なんでもOKなお悩み相談
まず、従業員の皆様の健康支援に関して、これまでどのような取り組みをされてきたか教えていただけますか?
登野城様:いちばん弊社で特徴的なのは、EAP(Employee Assistance Program) というサービスです。これは、社員が誰でも自由に利用できるサービスで、専門家に悩みを相談したり、話を聞いてもらったりできるサービスです。基本的にどんな悩みでも大丈夫で、女性特有の悩みでも、仕事に関する悩みでも、プライベートな悩みでも相談可能です。専用の相談窓口を設けており、そこでカウンセリングを受けられるようになっています。
また、このサービスは社員本人だけでなく、家族も利用できるんですね。社員本人だけでなく家族も使えるというのは大きなポイントかなと思いますし、実際に多くの方に活用いただいていると思います。
家族も使えるのは良いですね。電話での相談ということですか?
そうですね。電話、ビデオコール、メール、どの方法でも可能です。

性別は関係ない!企業文化として根付く多様性を尊重した職場環境と健康支援
EAPというサービスは包括的なものだと思うのですが、女性の健康という観点に絞ると、何か具体的な取り組みをされてきたのでしょうか?
岸本様:おそらく大前提として、ユニリーバの社内では「女性だから」「男性だから」という考え方が基本的にありません。大きな枠組みの話からすると、やはりダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(包括性)が企業文化として根付いているので、性別に関係なく「どうすれば働きやすい環境を作れるか」というビジョンを常に大切にしています。
「女性の健康のためにこれをやってきました」という具体的な施策があるかというと、そうではなく、それよりも「違いを学び、違いを受け入れてビジネスを進めていこう」というカルチャーの醸成に力を入れてきたという感じですね。
例えば、働き方を支援する制度という意味では、"Work from Anywhere, Anytime"(どこからでも、いつでも働ける)という制度をご存知でしょうか?これは、ユニリーバの最大の特徴の一つなのですが、こうした制度を通じて、性別による違いを制度の中で担保しながら、必要な健康のための時間を自分で確保しつつ、仕事も両立できるというメッセージを発信しています。

ありがとうございます。一番理想的なのは、やっぱりそういうことですよね。我々も「女性の健康」という言葉を使わせてもらっていますが、最終的には、そうしたことをいちいち言わなくても、みんなが自然に違いを受け入れ、お互い様の精神で支え合うのが一番良いと思っています。
岸本様:ただ、今回お声がけいただいて気づいたのは、そうは言っても実際には違いについて十分に学ばれていない ということです。例えば、女性ですら女性の体の課題を十分に理解していないケースもありますよね。
そう考えると、今回の取り組みを通じて「学ぶこともできる」という選択肢の一つとしてのベネフィットを提供することで、違いを学ぶ環境をより整えていけるのではないかと思いました。そういう意味でも、ぜひ一緒に取り組みたいなと思った次第です。
登野城様:そうですね。ユニリーバの考え方としては、あまり性差を強調するスタンスは取っていません。基本的には、すべての社員が同じスタンスで物事を共有できる という点を目標にしていて、その観点から福利厚生(ベネフィット) も設計されています。
その一方で、性差というものが現実的に存在するのも確かです。だからこそ、その差をうまくサポートできる仕組みが重要になってきます。こうした取り組みを通じて、学ぶ機会を提供することもできますし、やはり違いは必ず生じるものなので、それを適切にサポートすることが大事だと考えています。
今回あえて女性の健康に取り組む理由と社内の意識の変化とは?
ありがとうございます。なので、今回の取り組みについて、弊社からご提案させていただいた際に、ユニリーバさんにはすでにインクルーシブな文化が根付いている とはいえ、「違いを学ぶ機会を作る」という点に魅力を感じていただいたのかなと思っています。 そこで改めてお聞きしたいのですが、ユニリーバさんはこれまで「性差を強調しないスタンス」でいらっしゃった中で、あえて今回「性差を学ぶ機会を作る」と決めたきっかけは何だったのでしょうか?
「なぜ今回改めて女性の健康にフォーカスした取り組みを始めることになったのか」という点ですが、一つは外部からのプレッシャーではなく、むしろ内発的な動機が大きいということが挙げられます。
実はユニリーバは女性社員の比率が非常に高い んですね。今回お二人とお話しするにあたって、日本国内のデータを確認してきたのですがオフィス勤務の社員の女性比率は45%です。
さらに、管理職の比率についてですが、日本全体の傾向と比較すると、ユニリーバの数値はかなり高いことが分かります。ユニリーバでは日本において、マネージャー以上で44%、役員は60%以上が女性です。こうしたデータを見て改めて感じたのは、これだけ女性の比率が高い企業において、社員がより快適に働ける環境を作るためには、性別に関わらず「お互いの特性を正しく理解すること」が必要 だということです。これは、もはやビジネス戦略の一環としても重要なポイントになっています。
また、もう一つのきっかけとして、社内の有志団体であるEDI(Equity, Diversity & Inclusion)のスクワッドの存在があります。
特に、国際女性デーに合わせて、「違いを学ぶセミナーを開催したい」というリクエストが社員側から上がってきたんですね。こうした社内の声も、今回の取り組みをスタートさせる大きな後押しになりました。
登野城様:同じコメントにはなりますが、特に「これがきっかけ」という明確な出来事があったわけではなく、むしろじわじわと社内で関心が高まり続けてきた という感じですね。
弊社はもともと女性社員の比率が高い職場環境ですし、ちょうど国際女性デーというタイミングも重なったことで、改めてこのテーマについて考えるきっかけになった部分もあります。
岸本様:また、ユニリーバはシャンプーや日用品を扱う企業 ですが、特に「LUX(ラックス)」と「Dove(ダヴ)」という2大ブランドが、それぞれ独自のブランドパーパスを持っています。
ラックス(LUX):「#BeHairself 私らしく輝く髪へ」
ダヴ(Dove):「あなたらしさが美しさ(Real Beauty)」
どちらも、性別を超えて「本当の美しさとは何か」を社会に問いかけるブランドメッセージ を発信しています。つまり、こうしたブランドの立場からも、「多様な美しさを尊重する文化」を広めていくことがビジネスの一環としても重要になっています。
だからこそ、「違いをきちんと学んでいきたい」というリーダーからのリクエストもあり、今回の取り組みに繋がったという背景があります。
もう一つ補足すると、ユニリーバはグローバルでもEDI(Equity, Diversity & Inclusion)の意識が非常に強い企業です。毎年、何かしらのテーマやハッシュタグを掲げるのですが、今年の国際女性デーのテーマは「#InclusiveLeaders(インクルーシブ・リーダーズ)」 です。
つまり、「リーダーがいかに周囲に良い影響を与え、みんなを鼓舞できるか」が今年の重点テーマになっているんですね。
その点でも、今回の研修は非常にタイムリーでしたし、「女性の健康課題は女性だけのものではなく、マネージャー層や男性社員も一緒に学ぶべきもの」 というメッセージを伝えられる良い機会になりました。実際、今回の取り組みはユニリーバのグローバルな方針とも非常に親和性が高い ですし、社内の関心も高まってきていると感じています。

ありがとうございます。こうした背景や思いがあって今回の取り組みを決めていただいた、ということが非常によく理解できました。
国際女性デー研修がもたらす影響と今回の研修が持つ価値とは?
今回の研修についてですが、国際女性デーというのは、ある種フェスティバルのような期間とも言えると思います。もちろん、そういったイベント的な側面もあるとは思うのですが、何か期待している効果などはありますか?
岸本様: 今年は、3月を勝手にInternational Women's Monthと位置付けて(笑)、文京区のフォーラムへのブランドマネージャーの登壇、ミモザフラワーを使ったワークショップ、そしてこの健康セミナーを実施しました。リッチでしたね。
期待している効果に関してですが、KPIのプレッシャーがあるわけではありません。ただ、あえて定量的な指標 を挙げるとすれば、社員満足度調査(ユニボイス) が一つのバロメーターになるかなと思います。
これは年に1回、グローバル全体で実施される社員意識調査 で、その中に「職場の環境が多様性を受け入れるものであるかどうか」といったEDIに関する項目 があります。その指標は一つの測るものにはなると思いますが、「何パーセントアップしたいからこの研修を実施する」というアプローチではなく、あくまで結果としてどう反映されるかを見る というスタンスですね。
また、国際女性デーだけに焦点を当てて「この期間に何かをする」という考え方ではなく、年間を通じた包括的な研修の一環 として位置付けています。
たとえば、ユニリーバではマネージャーになった際に必ず受ける「バイアストレーニング」 があります。これは、「インクルーシビティをどう高めるか」を学ぶトレーニングで、そこからスタートし、国際女性デーやPeople with Disabilities、IMD(国際男性デー)など、折々のタイミングで違いを学ぶ機会を提供する という考え方です。その積み重ねによって、より企業文化として根付かせていく、というイメージですね。
登野城様: 数値的な話は岸本が述べておりますので、私は感情的な側面に関して少し付け加えたいと思います。
今回の研修を通じて、「ユニリーバではこういった機会を得ることができるんだ」と社員が感じること自体が重要だと考えています。
最初にもお伝えしたように、ユニリーバは多様な社員が、それぞれ異なるアプローチでさまざまな制度やコンテンツを活用できる環境を提供する ことを大切にしています。
この研修も、その一環として「社員がアクセスできる選択肢の一つ」として提供されることで、トレーニングの側面 もありつつ、福利厚生(ベネフィット)の一環 としての意味合いも持つと考えています。

フローラを採用した理由とは?決め手は目指す方向性とスピード感
今回、弊社にお声がけいただいたのもご縁があったと思うのですが、数ある選択肢の中でなぜ弊社を選んでいただけたのか、率直にお伺いしたいです。
岸本様:まず、ユニリーバがどういう企業として見られているかは分かりませんが、一般的には「グローバルの大企業」というイメージが強いかもしれません。でも、日本法人は実はそこまで大きくないんです。
日本国内では、社員数は約400人ほどで、他の大企業と比べるとかなり小規模な組織です。
この規模のメリットとして、機動力の高さ があります。研修や福利厚生の方針を決める際も、「どの会社が一番アジャイルに、目的に向かって一緒に取り組めるか」 という視点でパートナーを選んでいます。企業の規模よりも、共に動けるパートナーであるかどうか が重要なんですね。
その中で、数年前からTRP(Tokyo Rainbow Pride) などで高田さんの活動を拝見していて、「違いを受け入れ、それをビジネスに活かすこと」を長年発信されているのを見ていました。その中で高田さんがブースに来られて、「ぜひ一度お話しさせてください」と何度もお声がけいただいたんです。
その熱意がすごく伝わっていて、「この方となら、しっかりと目的に向かって取り組めるのではないか」 と思ったのが、今回ご一緒するきっかけの一つですね。
また、研修を進めるにあたっていろいろなリクエストを出しましたが、その都度柔軟に対応してくださったことも大きな決め手でした。そうした理由から、「フローラさんとぜひ一緒にやりたい」と思いました。

登野城様: 私も同じ考えですが、もう一つのポイントとしては、スピード感ですね。
ユニリーバとしては、必要なタイミングで、必要なものを提供できることが重要です。
例えば、今回の研修は国際女性デーに向けて実施する という目標がありました。限られた時間の中で、どれだけ迅速かつ柔軟に対応してもらえるか というのも、弊社としては大切なポイントでした。
その点で、御社の対応スピードや機動力の高さ が、ユニリーバのニーズに合っていると感じたことも、今回ご一緒させていただいた理由の一つです。
実際に研修後のアンケートでは、満足度も高く多くの方に「満足」と回答いただきました。参加者からは「PMSや月経困難症など女性特有の悩みはオープンに話しづらく、自分を責めてしまいがち、抱えこみやすいため、今回のように一般的であることを再確認できると心も軽くなります。」「アサーティブコミュニケーションが体調不良のときに使用できる余裕があっただろうかと振り返ることができました。使ってみたいです」などの嬉しいコメントも頂いておりますが、お二人から見て、実際に研修はいかがでしたか?
岸本様:月曜日の午後イチにも関わらず、いつもより多くの従業員に参加してもらえました。実際に社内でとても話題になっており、今日来られなかった方も、アーカイブでたくさんの方に見てもらえると思います。
登野城様:今日の内容は私自身も、男性なので知らなかったこともあり、とても勉強になりました。また同時に、社内制度がまだまだ活用し切れていないと感じており、そうした内容の周知も同時にできたのでよかったなと思っています。
インタビューは以上になります。ありがとうございました!