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排卵期にもPMSになる?

監修:産婦人科医 柴田綾子先生

PMSは月経前の3〜10日間ほど精神的・身体的症状の変化が続き、月経開始にともない、症状が緩和ないしは消失していく症状と認知されています。しかし、PMSの発症にはバリエーションがあり、発症するタイミングや症状は人それぞれです。

目次

・排卵期におけるPMSの症状と原因

・PMS発症の4つのパターン

・PMSチェック

・PMSはなぜ起こるの?

・月経困難症など、行きすぎたPMSのような症状がでている場合

・困ったら産婦人科にきちんといこう

PMS発症の4つのパターン

PMSは月経前に感じる体や心の不調です。症状には以下のバリエーションがあります。

  1. 月経開始1週間前から症状を感じ、月経開始とともに症状の緩和

  2. 排卵直後から症状を感じ、月経開始とともに症状の緩和

  3. 排卵直後に一時的に発症。再び月経前にも発症

  4. 排卵直後に症状を感じ、月経終了まで症状が続く

PMSといっても発症のタイミングは人それぞれです。まずは「生理前に体調が悪くなるときはPMSの可能性がある」と考えて、自分の体と向き合ってみましょう。


PMSチェック

排卵期におけるPMSの症状は精神神経症状と自律神経症状の2つにわけられます。以下の症状を何周期もの月経で感じたらPMSかもしれません。

PMSの診断は、まず自分が気づくことから始まります。生理周期に合わせて、同じパターンが2周期以上確認できたらPMSかもしれません。


まずはいつと違う体の変化を感じたら、どのタイミング(生理前後や排卵期)でどのような症状を感じるか、セルフチェックしてみましょう。


PMSはなぜ起こるの?

PMSの原因は、わかっていないことが多いのですが、症状には女性ホルモンの大きな変化が影響していると考えられています。


黄体期(排卵後から月経までの期間)はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されています。このうちプロゲステロンは、むくみや胸の張りなどの症状を起こしやすいホルモンです。また生理前になると、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内ホルモンや神経伝達物質に影響を与えると考えられています。

これらの原因に加え、生活習慣が崩れていたり、仕事や学校などでストレスを感じ続けたりすると症状が強くなる方もいます。症状も、身体的な症状を強く感じる方や、精神的な症状を強く感じる方など人によって症状はさまざまです。PMSの原因は一つに特定できず、いくつもの要因が影響しあって症状を引き起こしていると考えられています。


月経困難症では、生理中にPMSのような症状がでることも

月経期間中にPMSに似た不快な症状を感じたら、月経困難症かもしれません。


月経困難症とは、月経中に生じる病的な状態です。下腹部の痛みや腰痛などのような、一般的に月経痛と呼ばれる症状に加えて、吐き気・頭痛・疲労・脱力・食欲不振・下痢・憂うつなども含まれます。PMSと同様、女性ホルモンが影響していると考えられている症状です。子宮内膜から出てくるプロスタグランジンの影響により月経痛の腹痛や腰痛、頭痛や下痢といった症状が引き起こされることがあります。


また、病気が隠れている可能性もあります。強い月経痛の主な原因はとして、子宮内膜症や子宮筋腫があります(器質性月経困難症)。子宮内膜症や子宮筋腫は20代から40代の女性に多く見られます。


困ったら産婦人科にきちんといこう

PMSの発症にはいろいろなパターンがあり、排卵期から症状を感じる方もいます。症状が長引いたり、月経中に症状が強く出たりするときは、ほかの病気かもしれません。特に月経中の強い痛みは子宮内膜症や子宮筋腫の可能性もあるのです。


PMSは、多くの女性にみられる症状ですが、「きっとPMSだろう」と自己判断せず、体調に不安を感じたら産婦人科を受診してください。

 

監修者プロフィール

柴田綾子 (Shibata Ayako) 先生

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医,周産期母体,胎児専門医

2011年群馬大学医学部を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。妊婦健診や婦人科外来診療をしながら女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動している。

著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)

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