
目次
覆された「女性の権利」
政治が絡む中絶の議論
中絶へのアクセスが困難に
多くの企業が中絶の費用を支援
まとめ
覆された「女性の権利」
先月の24日にアメリカの連邦最高裁判所は「中絶は憲法違反である」として約26の州で中絶が厳しく規制されました。この判決は49年前の「妊娠中絶は女性の権利である」と認めた判決を覆したことになります。これにより、多くの女性が中絶をしたくてもできない、もしくは長時間移動を必要とする方法でしか中絶ができないようになります。さらに一部の州では中絶が「重罪」とされ、死刑判決が言い渡される可能性が示唆されています。
政治が絡む中絶の議論
アメリカでは中絶の権利に関する議論は政治的な意味を持ち、保守派とリベラル派で大きな対立が長年起こっています。南部や中西部に多く集まるキリスト教保守派たちが「どんな形であっても神が命を宿すと決めたことだから」という理由で「産むこと」への価値観を人々に訴えてきました。しかし、リベラル派は「女性の体に起こることは、女性が決めること」として「女性の権利」を訴えてきました。このような議論が50年以上続き、選挙がある度に2つの党派の間で重要な争点となっています。
中絶へのアクセスが困難に
アメリカは州ごとに法律や条約が異なるため、今回の判決も各州の政府に委ねられる形になります。そのため、保守派が集まる南部や中西部の州になるほど中絶が厳しく規制され、処罰もより重くなります。さらに中絶を行う医師も罰せられるなどの法律の検討もされているため、内密に中絶を行うこともできなくなります。しかし、このように厳密に中絶を禁止したところで本当に中絶をする人は減るのでしょうか?これはただ安全な中絶へのアクセスが減少するだけであって、中絶の完全廃止に繋がるわけではないと思います。産むか産まないかを判断する女性の権利を剥奪しているとしか思えません。
多くの企業が中絶の費用を支援
今回の判決以降、多くの有名企業が中絶をする際の旅費の負担をするという表明を次々と出しています。このような企業の多くは健康保険で費用の負担をするとのことですが、中には保守派の政治家を支援しながらもこのような表明を出しており、完全に信用できるかは不透明なままです。
まとめ
50年間アメリカで守られてきた女性の権利がこんなにも簡単に奪われてしまう事に驚くと共に、日本も他人事ではないと感じます。日本は避妊に失敗した際に服用するアフターピルは薬局で処方してもらう必要があり、さらには薬を処方してもらう時や中絶を行う際も配偶者の同意が必要となります。日本でも完全に女性の意思ではなく、相手の判断に委ねられるため、女性の権利が守られてるとは言い切れません。日本でも女性の権利が十分に与えられるよう、アメリカのことも他人事として捉えずに常に声を上げ続けるべきだと思います。
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